吉田スカウト部長のインタビューに見る、DeNAのスカウト事情

吉田孝司編成スカウト部長兼GM補佐は、巨人のV9時代の控え捕手、そして初期の長島政権時代の正捕手として、よく憶えていますが、引退後のことはあまり知りませんでした。巨人のスカウトから編成部長にまで昇格しましたが、2004年一場事件で渡辺恒雄氏がオーナーを辞任したとき、責任を問われて解任されていたのでした。

そしてDeNA元年の2012年1月6日、DeNAの編成スカウト部長に就任しました。以後、巨人時代の盟友でもあった高田GMとともに、チームの編成に辣腕を振るってきました。最高責任者の高田GMばかりが脚光を浴び勝ちですが、吉田部長がDeNAになってからのドラフトの数々の成功の立役者であることは間違いないでしょう。

吉田部長にインタビューした報知の記事があります。

【DeNA】吉田編成部長、スカウトは賭け 現主力は短所目をつぶり獲得した選手たち 2017年11月12日10時0分 スポーツ報知

「1年目は投打ともに戦力が足りなかった。監督だった中畑がよく『情けない』と言っていたけど、『分かって引き受けたんだから我慢しろ』と言っていたんだ」
「(新体制になる前に行われたドラフトは、指名した9選手のうち、8人が高校生という不可解さだったため)高田GMとも『どんなにうまくいっても、戦力を整えるのに5年から7年はかかる』と話していた」

1年目の中畑さんはよく「情けない」と言っていたとのこと。分かる気がします。ドラフトでは上位で有力投手を指名する一方で、中位から下位にかけて社会人の即戦力を次々と指名したとのこと。井納、宮崎、三上、倉本、戸柱選手といったところです。高田ー吉田体制初のドラフトだった2012年、そして2013年ドラフトについては、

「井納は素材は申し分なかったけど、既に26歳だった。宮崎は打つのは面白いけど、足もないし、二塁の守備もおぼつかない。三上は体格がよくて腕が長いけど、制球がもう一つ―といった具合に、みんな短所があった。でも、そこには目をつぶって獲得した」

競合もあり得る1位2位の有力投手について、大学4年次の怪我などで他チームが消極的だった投手をしっかり見極めて指名してきたことも評価されますが、3位以下の指名こそ、スカウトの腕の見せ所なのかも知れません。

しかしこれだけの実績のある吉田さんも、スカウトは賭けだと言います。 

「スカウト業は常に賭け。何年かかっても、これがいいというのは分からない」「(高田GMに)2年間手伝ってくれ」と言われて引き受けた〜「ここまで来たら、リーグ優勝するところまで見届けたいね」

そして最近、THE PAGEに2回に分けて連載された記事も面白かったです。

横浜DeNAのセ下克上を支えたスカウト流儀とは?「巨人名投手の残像」 THE PAGE 2017/12/26(火) 5:00

横浜DeNAのドラフト成功の裏に情報網と“読む力” THE PAGE 2017/12/28(木) 5:00

吉田さんの投手を見るポイントは、いろいろあるが、経験から言って馬力があって球が速いことが最重要で、この2つがあれば、投球フォーム、球種、クイックの完成度、制球力は、あとから成長できるとのこと。そして野球センス。グラウンド内の動きに目配せして、投げることだけでなく、守備や走塁、バッティングなどのすべてを見て、その動きにセンスがあるなあと感じる選手。

「どのチームも左にいいバッターがいる。右にいいのがいれば別だが、同じくらいの力ならば、左のほうが戦力にはなると考えている」


今永投手については、
大学2年、3年のいいときを見ていた。4年では肩を傷めたが、どれだけ痛いかまでは、調査しても分からない。そういう中で吉田さんは、最後の秋の入れ替え戦で初戦に投げれば『いける』と踏んでいたそうです。実際今永投手は初戦に投げて勝ち、3戦目にも出てきたことで、『本物だよな』と判断し、高田GMも同意したそうです。この試合は、結果打たれましたが内容はもう関係なかったとのことです。

「だから、いいときを見ることができて、いけると判断すると、それ以上を見すぎない(笑)。見すぎると悪いところや欠点が気になってくる。スカウティングは、すべて足し算。引き算はしない」
「三嶋も、石田もそうだった。三嶋も4年ではダメだった。でも1年のときの三嶋は凄かった。いいときを見ているから『馬力あるよな』と評価したんだ」

そして、今永、濱口、石田の3投手については、この2、3年で、本物のコントロールをつけることができるか、どうか。そこが勝負。モノに出来れば、10年、この世界で食っていけると語っています。

ッターは、スイングスピードバットの出間の取り方の3つを見る。間の取り方にはセンスが出るよ。それとバットの出。ヘッドが遠回りしてくるバッターはダメ。ゆったりと引いてきて、ポイントまで最短距離で、内側からバットのヘッドが出てこないとね。ここにセンスが出る」

日ハムや楽天などドラフト戦略にもコンピュータによるデータ管理を用いる球団が増えてきたが、吉田さんは、「それも大事だけど人間の目だよ。コンピュータで決めるならば僕らはいらない。最後は人間の目。例えば走塁にしても計り方やストップウォッチの押し方でタイムなんて変わってくるしね。あくまで目安だよ」とのこと。デジタル化した数字より、自分の目を信じる。昔ながらのスカウトのやり方ですが、それで結果を出しているのですから、説得力があります。

「濱口は、ヨソの球団には、そこまで評価されていないことがわかっていたので、実は、2位で取ろうと考えていた。馬力はあったけど、コントロールはアバウトだったからね。でも、1位の柳を外して外れ1位の佐々木でも抽選で負け、じゃあ濱口を1位に順位を上げようとなったんだよね」


私は1年前のブログで、濵口投手のことをドラフト2位で指名される投手などと、失礼なことを書いてしまいましたが、あながち間違いではなかったようです。もちろん吉田部長の目は、私のように節穴であったのではなく、力は評価していたが、他の球団が評価していないので、2位で十分取れるという戦略だったということです。

そして今年のドラフトについては、

「いろいろと考えた。清宮も欲しかったが、ピッチャーでは左の田嶋がよかったし、東については『ちょっと小さいね』という意見もあった。でもボールがキレる。田嶋と同じ評価。高田GMには『抽選で負けたら、おそらく東に重複するんじゃないか』という読みがあった。それならば『抽選の可能性の少ないほうに行こう』という話になった」

「今のところ結果が出ているのは、日本全国を見ている担当スカウトがいて、そして選手が頑張っているから。ドラフトに正解なんてない、賭けだからとここでも”賭け”ということばを使って、自分の功績を誇ることはけしてありません。

やるのは選手。選手が努力したから、こうやって戦力となって出てきているんだよね」


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Source: YOKOHAMA lover

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